墓じまいの進め方
墓じまいでいちばん多いつまずきは、費用でも書類でもなく、順番です。 先に契約してしまってお寺との話がこじれる、先に役所へ行って書類が足りず出直す—— どちらも順番を知っていれば避けられます。 全体で1〜3か月。ここでは7つのステップに分けて、いまどこにいるかがわかるようにまとめました。
先に知っておくと迷わないこと
遺骨を移すには市区町村の改葬許可が必要で、その申請には 新しい納骨先が決まっていること(受入証明書)が求められます。 つまり行き先を決めないと、いまのお墓は片づけられません。 「墓じまいを調べていたのに新しいお墓の話が出てくる」のは、この制度の順番によるものです。
- 1
家族・親族に話す
最初にお墓は法律上、祭祀承継者が引き継ぐものですが、感情の面では家族全員のものです。工事や契約が進んでから知らせると、話がこじれやすくなります。まず「こう考えている」と伝えるところから始めます。
- 2
いまのお墓の管理者に、一報だけ入れる
早めに寺院墓地なら住職、霊園なら管理事務所へ。この段階では「相談したい」と伝えるだけで十分です。新しい納骨先の契約を先に済ませてしまうと、お寺との話がこじれたときに動きにくくなります。
- 3
新しい納骨先を決めて契約する
いちばん時間がかかる総額が最も動くのがここです。合祀墓・樹木葬・納骨堂・手元供養など、形式で費用も性質も変わります。契約すると受入証明書が発行され、これが役所への申請に必要になります。つまり、行き先を決めないと手続きは始まりません。
- 4
石材店を決める(見積もりは2〜3社)
3と並行して撤去工事は業者によって金額差が出やすい項目です。ただし寺院墓地・民営霊園では石材店が指定されていることがあり、その場合は相見積もりが取れません。まず管理者に指定の有無を確認します。
- 5
書類を3枚、順番に集める
書類が揃えば早い受入証明書(新しい納骨先)→ 埋蔵証明書(いまの墓地の管理者)→ 改葬許可申請書(いまお墓がある市区町村)の順です。役所は最後。先に役所へ行っても添付書類がないと受理されません。
- 6
閉眼供養 → 遺骨の取り出し → 撤去工事
1日でまとめられることが多い魂抜き(閉眼供養)の法要をお願いしてから遺骨を取り出し、墓石を撤去して区画を更地に戻します。遠方の場合、閉眼供養と工事の立ち会いを同日にまとめると負担が減ります。
- 7
新しい納骨先に納骨する
最後改葬許可証を新しい納骨先の管理者に提出して納骨します。許可証は納骨のときに必ず求められるので、それまで大切に保管してください。
その前に:本当に墓じまいでいいか
遠方で管理が難しい、というだけなら、墓じまい以外の選択肢もあります。 いったん決めてしまうと元には戻せないので、判断材料を並べてから決めても遅くはありません。
よくある質問
- 墓じまいは全部でどのくらいの期間がかかりますか?
- 全体で1〜3か月ほどみておくと、急かされずに進められます。改葬許可証そのものは即日交付の自治体もありますが、時間がかかるのはその前——新しい納骨先の検討と、いまの墓地の管理者との話し合いです。
- 費用はどのくらいかかりますか?
- 経験者733人への調査(2026年)では、31〜70万円が最も多く31.3%、30万円以下と合わせて約半数が70万円以下で収まっています。一方で151万円以上も14.0%あり、その差はほぼ「新しい納骨先に何を選ぶか」で決まります。
- どこから手をつければいいですか?
- まず家族・親族に話すこと、次にいまのお墓の管理者へ一報を入れることの2つです。契約や工事の話は、そのあとで問題ありません。順番を守ることが、あとのトラブルを減らす一番の近道です。
- まだ墓じまいすると決めたわけではないのですが。
- 決める前でも大丈夫です。遠方で管理が難しいだけなら、墓参り代行や管理費の見直しなど、墓じまい以外の選択肢もあります。判断材料を並べてから決めても遅くはありません。